VIXストラテジーを比べてみる1
説明しよう!VIXストラテジーとは!
room5110で解説されていたストラテジーは3つあり、成績順に現物/先物比率、VIX/VXV比率、期先/期近比率でした。付け足すこともないので取り立てて説明しません(?)。
数値いじってバックテストだなんだとこねくり回すのは楽しいけれど、ある程度以降はあまり有意義ではなさそうに思えてしまう。定性的な議論をしたい…つまり各ストラテジーでサインが出たときどんなイベントがあったかである。
VIXストラテジー、色々ありますが要は通常時はVIX売りでヤバそうなときにはVIX買いたいというものです。我々はそのタイミングが知りたいんですね。
VIXチャートを見てみよう
仰々しくなってしまったな
上からVIX、現物/先物(1.05-1)、VIX/VXV(1.08-1.02)、期先/期近(1.05-0.95)です。赤線-緑線の閾値の数字はいじれますが前述。
見て分かる通りこいつらがやってることは順張りで、赤線に到達したらVIX買い、緑線まで戻ればVIX売りです。動き方が似てたりするのはRSIとストキャスティクスみたいなもんですな(合ってる?)。
さて、ぱっと見違いがわからないこれらの指標であれだけパフォーマンスに差が出るというが…?
VIXスパイク時のイベントをリストアップする
再確認すると、通常時は何も考えずVIX売ってればいいわけです。何も考えず売り続けてると今年の2月みたくなりかねないのでVIX買いへのスイッチがしたいんです。何が言いたいのかというと、VIX関連の指標で重要なのはVIX売り手仕舞い(VIX買い)のタイミングだと僕は考えています。実際問題どうなのかは知らん。取引未経験なので。
スパイクで何が嫌なのか?これは売り続けた時損失許容額を超えてしまうからです。資金が無限大ならばVIXが上昇した日ごとに新たに売り増せばそれで済む話であって、残念ながら我々は無限大の資金を持っていない。
VIXスパイクの定義から入ろうとしたんだけど、指標の閾値をいくらに設定するかと同値であることに気づいてしまった。感覚値になってしまうがその辺ご了承ください。
VIXチャートとインターネットの古代遺跡を見比べながらそれっぽい出来事をリストアップしていこうと思います。定義から、ボラティリティを√252で割った値が標準偏差です(だよね?)。これが正規分布に従って1日のおよその値動きに相当します。VIXは市場が予想した30日分のボラティリティなので、(VIX/√252)*30で30日後の変動率が求められます。VIXが15なら1σで±28%、2σで±56%です。どの程度まで見積もるかこの辺も曖昧なんですが、VIXが20を目処にしておけばいいかなという感じがする。
さて、何が起きたのか見ていきましょう。
VIXスパイク期間 | 概要 | VIX |
---|---|---|
2006/05/12-2006/06/29 | 雇用統計を受けてFOMC利上げ観測 | 23.81 |
2007/02/27-2007/03/19 | 上海ショック、サブプライムローン警戒 | 21.25 |
2007/07/24-2007/09/18 | ベア・スターンズHF破綻、パリバショック | 37.50 |
2007/10/19-2007/12/20 | HF相次いで破綻、解約停止など | 31.09 |
2008/01/17-2008/04/01 | モノライン問題、ベア・スターンズ破綻 | 37.57 |
2008/06/06-2008/08/25 | 失業率悪化と原油高でスタグフレ連想 | 30.81 |
2008/09/15-2008/11/25 | リーマンショック | 96.40 |
2009/01/07-2009/01/21 | ADP雇用統計、欧州発金融不安 | 57.36 |
2009/10/30-2009/11/03 | 個人消費支出を受けて米景気先行き懸念 | 31.84 |
2010/01/21-2010/02/11 | オバマショック | 29.22 |
2010/04/27-2010/06/17 | 欧州財政危機(ユーロソブリン危機) | 48.20 |
2011/02/22-2011/03/01 | リビア動乱 | 23.22 |
2011/03/14-2011/03/21 | 福島原発事故懸念 | 31.28 |
2011/06/15-2011/06/20 | ギリシャ債務問題再燃、米景気減速警戒 | 24.65 |
2011/07/27-2011/10/06 | 米債務上限問題、米景気減速懸念 | 48.00 |
2012/05/14-2012/06/18 | ギリシャ政局不安、中国景気減速懸念 | 27.73 |
2012/12/21-2012/12/31 | 財政の崖問題 | 23.23 |
2013/06/20-2013/06/25 | バーナンキショック | 21.91 |
2013/10/07-2013/10/09 | 米債務上限問題 | 21.34 |
2014/01/24-2014/02/06 | 新興国通貨危機 | 21.48 |
2014/10/09-2014/10/20 | 世界景気減速懸念、エボラ出血熱 | 31.06 |
2014/12/10-2014/12/17 | 原油安 | 25.02 |
2015/06/29-2015/07/10 | ギリシャ国民投票、中国売買停止措置 | 20.10 |
2015/08/20-2015/10/02 | チャイナショック | 53.29 |
2015/11/13-2015/11/18 | パリ同時多発テロ事件 | 20.67 |
2015/12/09-2015/12/16 | 中国景気減速懸念、ルーブル安 | 26.81 |
2016/01/04-2016/02/19 | 中国製造業PMI、原油安 | 32.09 |
2016/06/13-2016/06/28 | Brexit | 25.72 |
2016/09/09-2016/09/15 | FOMC利上げ観測 | 20.51 |
2016/11/01-2016/11/09 | 米大統領選 | 23.01 |
2018/02/02-2018/02/14 | VIXショック | 50.30 |
見づらいって?
俺もそう思う。スペースの都合上「スタグフレ」と略したがこれも許せない。
厳密に判定したわけではないのでアレだが、期間は動意してから沈静化するまでとした。VIXは一度上がると些細なことでも上がりやすくなる性質があるようなので、山が複数あるときは直近高値を更新した場合のみ取り上げています(高値更新しないなら絶対的にはビッグイベントではなかったのだろう、という考え方です)。当時参加していないので取り上げる出来事の粒度がとんちんかんな可能性は大いにあります。また市場が何を見ていたかも古代人の発言が頼りです。指摘があれば歓迎いたします。
こいつらをVIXチャートに載せるとこうなります。
見切れる某ショックの王者の風格を見よ。いいですよね2017年の空白地帯。
12年ほどの間にVIXスパイクが32回存在する。このとき各指標はどうか?
というのを次の記事でやります。乞うご期待。